日時: 2025年3月10日(火)~12日(木) 場所: 九州産業大学
概要
当研究室の中川さん,森由璃亜さん,加奥さん,飛澤さん,本多さん,増尾さん,山内さんの計7名が,電子情報通信学会 総合大会で研究発表を行いました!
<発表内容>
発表者:中川真一
タイトル: 多層マルチラベル分類による複合サービス推薦の層構成分析
概要:インターネット上の複数のWebサービスを組み合わせて作成した新たなサービスを複合サービスという.複合サービスによってユーザのニーズに合致するサービスを構築することができる.しかしながら,複合サービスを構築するために,必要となるWebサービスを選択することは難しい.そこで,本研究では,BERTの事前学習済みモデルを用いて,自然言語によるユーザの要件定義から,要件を満たすサービスの組み合わせを選択する手法を提案する.具体的には,本問題をマルチラベル分類問題とし定式化し,BERTの事前学習済みモデルを用いてその問題を解く.さらに,選択精度を高めるために,サービスのカテゴリを階層化し,多層マルチラベル分類を行う.また,多層マルチラベル分類を実現するためには機能分解の段数と機能候補数を設定する必要があり,その層構成の分析を行った.
<発表内容>
発表者:森由璃亜
タイトル: メタバース環境下における音声変換が対話距離に与える影響
概要:近年,メタバースの発展に伴い,仮想環境におけるユーザの行動や心理への関心が高まっている.仮想空間でアバターの特性が行動に影響を及ぼすプロテウス効果が報告されているが,先行研究の多くは視覚的特徴に着目しており,音声の影響は十分に検討されていない.本研究では,音声変換が対話距離に与える影響を分析し,音声を介したプロテウス効果の検証を目的とする.
<発表内容>
発表者:加奥咲江
タイトル: 翻訳エージェントにおける構造化プロンプトの実験的評価
概要:近年のグローバル化の進展により,多言語コミュニケーションを支援する高精度な機械翻訳への需要が高まっている.ニューラル機械翻訳(NMT)は多義語や文化依存表現を含む文に対しては,文脈情報が不十分な場合に曖昧性を解消できず,誤訳が生じるという課題が残されている。そこで,本研究では,人間の通訳者になぞらえ,ユーザとの対話を通じて曖昧な表現を明確化する翻訳エージェントを提案する。大規模言語モデル(LLM)は,高い対話能力と文脈理解能力を備えており,対話型の曖昧性解消や,ユーザの意図をより正確に反映した翻訳を可能にすることで,翻訳エージェントの実現を支援する。しかしながら,自然言語によるプロンプトは,対話が進むにつれて曖昧さやプロンプトの肥大化を引き起こしやすく,エージェントの振る舞いを一貫して制御することが困難となる。そこで本研究では,構文および意味を明示的に定義したYAMLベースの構造化プロンプト記法を設計し,安定かつ汎用的なエージェント制御を実現する。本プロンプト記法では,状態遷移,イベント,およびアクションによってエージェントの振る舞いを構造化し,異なるLLM間でも一貫した挙動を達成する。評価実験では,gpt-4.1-miniを用い,YAMLプロンプトと自然言語で記述したプロンプトを比較した.また,対話機能を持たない既存の機械翻訳手法として,Google翻訳およびDeepL翻訳を比較対象に含め,翻訳品質の観点から評価を行った.その結果,YAMLベースのプロンプトではシナリオ逸脱が発生しなかったのに対し,自然言語プロンプトでは逸脱が発生した.また,翻訳精度に関しては,既存の機械翻訳手法より精度が悪いものもあったが,人手修正量が少ない翻訳を生成できていることが示唆された.これらの結果から,構造化プロンプトは翻訳エージェントの対話の安定性と一貫性を向上させる有効な手法であることが示唆された.
<発表内容>
発表者:飛澤佑季
タイトル: LLMマルチエージェントを用いたWebサービス合成
概要:自然言語要件から複合サービスを構成するAPI選択は,サービス自動合成の重要課題である.既存のLLM単一エージェント手法は,API数増加に伴うプロンプト長の線形増大により,コンテキスト長制限や推論精度低下のスケーラビリティ問題を抱える.本論文では,各APIの仕様を個別のコントラクタエージェントに分散保持させ,契約ネットプロトコル(CNP)に基づく入札により推薦を行うマルチエージェント型手法を提案する.さらに,コア機能分解・カテゴリマッピング・APIマッチング・API選択の推論過程を個別タスクとして外在化し,その分担方式(マネージャ主導型・コントラクタ主導型・協調型)が推薦性能に与える影響を比較する.ProgrammableWebデータセットによる評価の結果,マネージャ主導方式が最も安定的に高精度を示し,推論タスクの分担設計が精度とコストのバランスを決定することを明らかにした.
<発表内容>
発表者:本多快
タイトル: 状況依存型IoTサービス合成のためのLLMエージェントアーキテクチャ
概要:近年,住宅やオフィスなどに多数の IoT デバイスが導入され,環境情報を取得するセンサと空調機器や照明などの環境に作用するアクチュエータが日常空間に広く配置されている.これに伴い,自然言語による指示によって状況に応じた最適な機器制御を実現するサービスの需要が高まっている.しかしながら,実世界では時刻や外部環境が変動し,さらにデバイス間の物理的競合も生じ得るため,状況に応じた柔軟かつ安全な制御計画の生成は容易ではない.そこで,本研究では,大規模言語モデルを用いて,ユーザの自然言語による指示から実世界のコンテキスト情報を収集し,状況に応じて IoT サービスを動的に合成する LLM エージェントを提案する.
<発表内容>
発表者:増尾柚希
タイトル: LLMマルチエージェント型質問応答のための弁証法的議論
概要:近年,大規模言語モデル(LLM)を用いた質問応答は,さまざまなサービスで活用されている.異なる文化の住民が混在する多文化共生社会では,質問に対する正確な回答だけでなく,対立する多様な価値観の間で,双方の受け入れ可能な合意を導く回答も求められている.しかし既存のLLMマルチエージェント議論では,対立する立場で優劣を競うディベート形式が中心であり,議論が勝敗に収束しやすい.その結果,価値観の対立構造が論理的に統合されず,双方が受け入れ可能な合意に至らない場合が多い.そこで本研究では,弁証法的推論と抽象論証の枠組みに基づき,複数のLLMエージェントが論証構築・反対論証・相互反論・統合を段階的に実行する対話プロトコルを提案する.
<発表内容>
発表者:山内瞭
タイトル: Shared Plansに基づくLLMマルチエージェント型クロスドメインQA
概要:近年,大規模言語モデル(LLM)を用いた質問応答は高度化しているが,複数の知識領域を横断するクロスドメイン質問では,異なる専門知識を段階的に接続する推論が必要となる.しかし既存のマルチエージェント手法では,推論計画を中央管理エージェントが決定する場合が多く,誤った前提やハルシネーションが推論全体に伝播する問題がある.そこで本研究では,SharedPlans理論に基づき,複数の専門LLMエージェントが対等に共有計画を構築し協調的に推論を行うマルチエージェントQA手法を提案する.