Laboratory Life


日時: 2025年3月13日(木)~15日(土)
場所: 立命館大学OICキャンパス

概要

砂田さん,北川さん,松本さん,森叶葉さん,山本さん,岩野さん,加奥さん,富田さん,中川さん,森由璃亜さんの計10名が,情報処理学会第87回全国大会で研究発表を行いました!



<発表内容>
発表者:砂田界渡
タイトル: 無機材料分析手法の選択支援のためのオントロジーの構築
概要:無機材料の製造において,物質の材質や内部構造の調査のために材料の分析が重要であり,分析目的に応じた最適な分析手法を選択する必要がある.そこで,分析依頼書を与えてテキスト解析し手法を推薦するシステムが提案された.しかしながら,語彙の定義や抽象度が不明瞭であることから,プログラムが複雑になり,メンテナンス性が低下する課題があった.そこで共同研究全体の最終的な目標として,分析依頼書の内容から最適な手法を推薦するシステムの開発を目指し,本研究ではそのための分析目的と分析手法に関するオントロジーを構築する.また,構築したオントロジーを組み込んだ推薦システムを用いて,オントロジーの利用例を提案する.

発表スライド:

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<発表内容>
発表者:北川勘太郎
タイトル: 連合ニューラル翻訳のためのマルチエージェントシステムの自己組織化
概要:連合学習は,各組織が自分のデータを秘匿にしたまま,モデルを協調して学習できるが,データ分布が異なるとモデルの精度が低下するため,全てのモデルの翻訳精度が向上するとは限らない.そこで,深層強化学習を用いて各集約プロセスで動的にパートナーを選ぶマルチエージェントシステムを提案する.エージェントの内部モデルとして,ドメインごとに個別に翻訳精度向上を図ろうとする利己的エージェントと、すべてのドメインに対して翻訳精度向上を図ろうとする協調的エージェントを用いる。3つの異なるデータを用いた検証で,従来手法よりも利己的エージェントは29.5%,協調的エージェントは13.4%翻訳精度を向上させることを確認した.

発表スライド:

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<発表内容>
発表者:松本賢司
タイトル: 大規模言語モデルを用いたサービス開発におけるAPI推薦
概要:複数のAPIを連携して構築した新たなサービスを複合サービスという.複合サービスにより,単一のサービスでは実現が難しい拡張機能や付加価値を提供することが可能となる.しかしながら,複合サービスを構築する際には,膨大な数のAPIの中から必要なAPIを発見することが非常に困難である.本研究では,LLMのプロンプティング手法を用いて,自然言語によるユーザの要件文から,要件を満たすAPIの組み合わせを発見する手法を提案する.具体的には,生成AIに推論手順を設けて事例を提示し,それをもとに推論させるFew-Shot CoTの手法を適用し,評価する.

発表スライド:

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<発表内容>
発表者:森叶葉
タイトル: 埋め込みに基づく日英間の絵文字の文化差分析
概要:絵文字はチャットベースの多言語コミュニケーションにおいて,書き手の感情や意図を伝える重要な役割を果たす.しかし,文化によって解釈の異なる絵文字が存在するため,絵文字がそのまま挿入される現在の機械翻訳では,コミュニケーションの齟齬が生じる.そこで本研究では,二種類の絵文字埋め込み手法を使用し,日本語と英語における絵文字の文化的な違いを抽出し,それぞれの手法によって文化差を抽出できた絵文字の比較を行った.具体的には,絵文字に込められた感情に着目する感情予測ベースの埋め込みと,テキストに後続する絵文字に着目する後続絵文字ベースの埋め込みを用いた絵文字の文化差の分析比較を行った.

発表スライド:

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<発表内容>
発表者:山本涼太郎
タイトル: Deep Knowledge Tracingを用いた対訳評価タスクの割当て
概要:クラウドソーシングを用いた低資源言語のバイリンガル辞書作成では、作業者の能力差やタスクと作業者の適合性不足が課題だ。本研究では、知識タグの生成方法として従来のWord2Vecを用いた語義的分類に加え、新たにレーベンシュタイン距離を利用した手法を導入した。これらの知識タグを基に、Deep Knowledge Tracing(DKT)モデルでタスク成功確率を予測し、拡張ハンガリー法を用いて最適なタスク割当てを行う。提案手法の有効性を検証するため、従来手法と新手法を比較し、それぞれの割当て精度や効率性を評価する。

発表スライド:

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<発表内容>
発表者:岩野智総
タイトル: メタバースにおける発話言語の変換による話者の振る舞いの影響
概要:メタバース上でのアバターを通じた活動は,ユーザの自己認識に影響を与え,振る舞いに変化をもたらすことが知られている.この心理効果は「プロテウス効果」と呼ばれている.しかしながら,これまでのプロテウス効果の研究は主に外見的特徴の変化に焦点があてられており,発話言語の変化については検証されていない.メタバースでの異文化間の円滑な相互理解を実現するには,メタバースでの言語変換の影響を理解することが重要である。そこで本研究では,メタバース上に自分の発話を相手の言語の合成音声に変換する多言語音声コミュニケーション環境を構築し,言語の変換によるプロテウス効果の検証を行った.

発表スライド:

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<発表内容>
発表者:加奥咲江
タイトル: 翻訳エージェントのためのプロンプト記法
概要:自然言語で記述されたシナリオでは,曖昧性やインタラクションが増え文脈の長大化により,シナリオから逸脱する問題が生じる.そこで,本研究では,エージェントを制御するための構造化されたプロンプト記法を提案する.具体的には,プロンプトを「シンタックス」と「シナリオ」の2要素で定義し,YAML形式で記述することで曖昧性の解消を図った.この記法により,多義語や口語表現の曖昧性を取り除き,文脈に合わせて柔軟な翻訳が実現可能になった.構築したエージェントを用いて多義語や文化依存の表現への対応精度を評価した結果,ユーザーとのインタラクションを通じて,より正確で文脈に即した適切な翻訳を行えることを確認した.

発表スライド:

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<発表内容>
発表者:富田悠斗
タイトル: BARTを用いたネイティブ英語への事後編集モデル
概要:機械翻訳の出力がネイティブ話者にとって自然ではない場合がある. ネイティブ話者にとって自然な出力にする手法として, 事後編集を用いる場合がある. 本研究では, 人手によって行われるこの手法の自動化を行う. 具体的には, 事前学習済みモデルを用いたニューラルネットワークによる同一言語間で変換を行う. BERTを用いたネイティブ英語分類器の構築を行い, その分類器を用いた対訳コーパスを作成する. BARTを用いて作成した対訳コーパスをファインチューニングし, 事後編集による出力がネイティブ英語であるか分類器を用いて推論を行う. この手法により, 自動化された事後編集が英語母語話者スタイルへの変換として概ね有用であることが示された.

発表スライド:

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<発表内容>
発表者:中川真一
タイトル: BERTを用いた複合サービス推薦
概要:インターネット上の複数のWebサービスを組み合わせて作成した新たなサービスを複合サービスという.複合サービスによってユーザのニーズに合致するサービスを構築することができる.しかしながら,ユーザのニーズに合致する複合サービスを構築するために,必要となるWebサービスを選択することは難しい.そこで,本研究では,BERTの事前学習済みモデルを用いて,自然言語によるユーザの要件定義から,要件を満たすサービスの組み合わせを選択する手法を提案する.具体的には,本問題をマルチラベル分類問題とし定式化し,BERT Multi Label Classificationを用いてその問題を解く.さらに,選択精度を高めるために,サービスのカテゴリを階層化し,多段階にマルチラベル分類モデルを適用する.

発表スライド:

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<発表内容>
発表者:森由璃亜
タイトル: ボイスチェンジャーによる話者の振る舞いへの影響
概要:仮想環境では,ユーザの操作するアバターの見た目が変わるとユーザの行動に変化が生じるプロテウス効果が知られている.仮想環境とは,ハードウェア内で仮想的に構築された環境のことであり,ユーザーはアバターを通じて他者と交流することができる.現実世界に類似した仮想環境を介した体験で,ユーザーの仮想環境内でのアバターの見た目が変わると,プロテウス効果としてユーザーの行動に変化が生じることが示されている.本研究ではアバターの見た目ではなく音声に注目し,ボイスチェンジャーを用いてユーザーの性別と音声の不一致が行動に与える影響を分析する.特に,音声の高さや抑揚の変化が自己開示レベルや交渉行動に及ぼす影響を検討する.実験ではTwo Truths and a Lieおよび最後通牒ゲームを使用し,自己開示や交渉行動を評価する.

発表スライド:

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